目次
地名
グリンガルド共和国
今作の舞台で、大陸の南西部に位置する多様な人種で構成された多民族国家。
物語が始まる30年前に民衆派による無血革命によって王国から共和制に移行した。
革命を経たとは言え、旧王家もまだ健在であり、また多くの州でかつての地方領主がそのまま州知事として地方行政を執っているなど、かつての貴族社会の様相を色濃く残している。
貴族たちの称号、爵位もそのまま残されており、いまだに革命を是としないものも多い。
こうした情勢から、民衆から圧倒的な支持を受け現大統領を有する民衆派勢力と貴族派の政争が激しく、国内情勢はやや不安定である。
イズベルグ州
グリンガルド共和国北東部に位置する州で、さらに北東に隣国リンダール帝国、南西にエルドルア諸王国と隣接している。
こうした地勢上、歴史的にも紛争の多い地域であるが、東部を広大な大森林が覆っており、大軍を率いること敵わず守備に適した土地と言われている。
現州知事はかつてのグリンガルド大貴族の一人で、イズベルグ公爵とよばれた、クラウス・フォン・ヴァレンシュタイン卿。
エルトフォールド州
グリンガルド共和国南部に広がる広大な州。現州知事は共和国内筆頭貴族のエーレンフリート・フォン・ヴェルナー卿。
王都からも離れた土地であり、革命による影響も小さく、いまだに貴族社会そのものといった様相を残している。
リンダール帝国
大陸北部、グリンガルド共和国の北東に位置する、大陸随一の領土を誇る帝政国家。
国民のほとんどがエルフで構成されており、皇家を頂点としながら、その広大な領土は七つの行政区分に分けられ、七人の軍団長によってそれぞれ地方軍団として分割統治されている。
この国の地方領主、すなわち貴族たちは、代々受け継がれた“守護天使”との契約者であり、この“天使”の存在が、神から与えられた貴族という身分そのものを保証する証として認識されている。
特に七大天使と呼ばれる強大な天使を継承してきた七名家から輩出される契約者が、それぞれ七つの軍団の軍団長を務める習わしとなっており、“大天使ミカエル”の契約者である皇家が、その筆頭である第一軍団の軍団長として帝都中心の土地を治めている。
その他、グリンガルド共和国方面、エルドルア諸王国方面、さらに北方の異民族方面と、多方面でそれぞれの地域を治める軍団長たちが皇家の威光を受けながらも独自の判断で軍事行動を展開している。
ヴィンデルヘイム州
リンダール帝国南西部に位置する州で、西にグリンガルド共和国、南にエルドルア諸王国と、二国と隣接する州。
帝国第四軍団に属し、軍団長は、“大天使ウリエル”の契約者であるディートリヒ・フォン・シャルンホルスト卿ヴィンデルヘイム公爵。
エルドルア諸王国
大陸南部、グリンガルド共和国の南東部に位置する、ドワーフによる民族国家の集合体である。諸王国とはいうものの、統一国家としての機能は存在していない。
ドワーフ諸王は、ときに争い、ときに協力しながら、お互いに領土の拡大を目指しており、エルドルアは長らく戦乱が続く土地となっている。
一つ一つの国は、各部族長を頂点とした王国であり、王となる族長は、みな“魔神”との契約者である。
ただし“魔神”にも階級が存在し、より上位の“魔神”を使役する王は、下位の“魔神”との契約者である部族長を従えることで領土の拡大をつづけ、エルドルアは現在九つの有力な部族によって支配されている。
ハーゼンバイン王国
エルドルアの西、グリンガルド共和国と隣接する部族が治める王国である。
九人の有力なエルドルア諸王の一人、ハーゼンバイン王が治めている国で、近年はグリンガルド共和国と友好的な関係を構築している。
エルドルア諸王国は、一般に国王である部族長の名前が国の名前として用いられる。
登場人物
あなた(主人公)
大陸歴1312年。ギルドの正規メンバーとして採用された新任メンバー。
グリンガルド共和国本部のスコーグ村に赴任するところから物語が始まる。
ロレッタ
盗賊に囚われていた謎の多い黒髪の女性。
記憶の多くを失っており、わずかに残る記憶からレオンと言う名の兄を探している。
紅茶を淹れるのが得意。
レオン
ロレッタが探している兄。
グリンガルド共和国
クラウス・フォン・ヴァレンシュタイン卿
かつてイズベルク州を治めていた大貴族の一人で、爵位は公爵。イズベルク公爵と呼ばれていた。
現在は、そのままイズベルク州の州知事を務めている。
フランツ・フォン・ヴァレンシュタイン
クラウス卿の長男でヴァレンシュタイン家の跡取り息子。
幼少の頃より、一家に仕える執事の老紳士に育てられ、やや世間知らずなところはあるが、正義感が強い。
ゲオルグ・フォン・ハンナヴァルト卿
グリンガルド共和国騎士団に属する高位の騎士。
その実力は折り紙付きで、風刃剣の使い手として諸外国にもその名を轟かせている。
爵位は子爵。
黒衣の魔女メリッサ
近年グリンガルド共和国で台頭してきた。高位の魔女。
政治の世界で存在感を示し、有力な貴族たちからも信頼を受けている。
エーレンフリート・フォン・ヴェルナー卿
グリンガルド共和国南部に広がるエルトフォールド州の現州知事。
かつてエルトフォールド州全域を統治していたグリンガルドの筆頭貴族であり、今なお共和国内で絶大な権力を握っている。
爵位は公爵で、その影響から現在もエルトフォールド公爵、あるいはヴェルナー公爵と呼ばれており、周りの貴族達からも一目置かれる存在である。
王国時代から、エルド騎士団という私設騎士団を麾下に備えている。
エルド騎士クルツ
エルド騎士団に所属する若き騎士。
エルド騎士フォルカー
エルド騎士団に所属する若き騎士。
エルド騎士ジークベルト
エルド騎士団に所属する高位の騎士。男爵の爵位を持ち、実力も確かで現場指揮を執る。
ニコラウス子爵
かつては王国騎士団にも所属していた大魔道士であり、現在は王立大学の学長を務めている。
歴史学研究の第一人者。
マティアス・フォン・クレーベ卿
共和国議会議長を務める地方貴族。ヴェルナー卿の貴族派に属する。
伯爵。
リンダール帝国
ディートリヒ・フォン・シャルンホルスト卿
ヴィンデルヘイム州の領主で、大天使ウリエルとの契約者。帝国第四軍団軍団長を務める。
帝国七軍団長の中でも特に軍略に優れ、本人の軍事能力も高くリンダール帝国の片翼と呼ばれている。
公爵位を持つ。
バルトロメウス・フォン・ローエンシュタイン卿
帝国騎士団の筆頭騎士で騎士団長を務める。爵位は伯爵。
大陸最強の呼び声の高い老騎士で、剣技光神剣の使い手として勇名を馳せる。
在野の頃、暴走した前騎士団長の守護者を一刀で両断したことから、軍団長ディートリヒの目に止まり彼の推薦で現世騎士団長の座に就任した。
一部からは神殺しと呼ばれて恐れられている。
ユリウス皇子
リンダール帝国皇家の三男。
皇家守護者の次期契約者、すなわち次期皇帝との噂も立つ実力者だが、本人は野心を示さずあまり表舞台に現れない。
帝国騎士ドロテア
剣技氷斬剣を使う帝国女性騎士。正義感が強く情に厚い。帝国騎士モニカの親友であり好敵手。
青騎士と呼ばれる。
帝国騎士モニカ
剣技火焔刃を使う帝国女性騎士。従騎士時代からのドロテアの相棒で、今も互いに剣の腕を競い合う仲。実家が裕福。
赤騎士と呼ばれる。
帝国騎士ハンス
帝国騎士団に所属する騎士。才能はあるがまだ発展途上で、実力以上の成果を望んで勝ち気に逸る若者。
デットマー卿
ヴィンデルヘイム州の地方貴族。商才に長け、軍事紛争の多いこの地で巧みに成り上がった野心家。
エルドルア諸王国
ハーゼンバイン王
エルドルア諸王国九王の一人で魔神ベリアルとの契約者。圧倒的な戦闘能力を持ち、周辺部族を武力で従える専制君主。
しかし決して暴君ではなく、時代を読む知性、感性も併せ持ち、領国の富国に努める。
フランチェスカ
エルドルアのハーゼンバイン国に属する少数部族の女戦士。大きな弓を扱う。
魔神や天使といった守護者の存在に疑問を抱いている。
グレゴール
フランチェスカと同郷の戦士で金棒を扱う。ドワーフ族の中でも類を見ない大男で、オーガの落し子と呼ばれ恐れられている。
若い頃フランチェスカに叩きのめされた過去を持ち、それ以来彼女に付き従う。
ギルド
カタリナ
ギルドのグリンガルド共和国本部所属の上級分析官。
くせっ毛で大きな眼鏡をかけた頭脳明晰な女性。魔術を得意とするが料理は苦手。
ハンナ・マリー
カタリナの用心棒を務める、同じくギルドのグリンガルド共和国本部所属のベテランメンバー。
短髪長身の女性で、剣の腕前は大国の高位騎士に匹敵すると言われている。
その他世界設定
ギルド
世界の治安維持を目的に設立された組織で、大陸全土に支部が存在している。
支部は行政地区(州)ごとに設けられることが多く、複数の支部を統合する形で地域本部が設置される。
こうした特性上、小中規模の国家に対しては、ひとつの国家を包括する地域本部が設置されることが通例であり、物語の舞台であるグリンガルド共和国にも、グリンガルド共和国本部が存在する。
また、地域本部ごとに一人のギルドマスターが選任され、その地域の全権が委任される。
ギルド全体の運営については、六つの特別な地域本部のギルドマスターによる合議体で行われており、国際的な問題に対する基本方針や、各地域本部のギルドマスターの選定などが行われる。
ギルドマスター
ギルドの地域本部を統括する存在。ギルドメンバーは通常ギルドからの指示を受けて活動を遂行するが、各地域でメンバーに対して指示書を発行する権限を有する。
さらに、正規ギルドメンバーを認定する人事権も併せ持ち、地域本部の執行責任者として、その運営を一手に担う。
ただし、名前以外にその正体は公にされることは無く、ベテランメンバーでも直接会合することは稀である。
ギルドマスターは大陸全土に設置された地域本部それぞれに存在するが、中でも重要な地域を担う六人のギルドマスターが上級ギルドマスター(グランドマスター)と呼ばれ、ギルド全体の運営方針を決定している。
地下ギルド
アサシンギルドとも呼ばれる。入団の証に双頭の蛇をあしらった刺青を入れており、総じて暗殺術に長ける。
良くも悪くも地下社会の秩序を一定に保つ存在として、犯罪者や裏社会の人間たちからも恐れられている。
騎士団
一人の騎士団長を頂点とする騎士の集団。
国家や王家直属の騎士団から、地方貴族の施設騎士団までさまざまな規模の騎士団が存在する。
騎士
騎士団に属する団員を騎士と呼ぶ。
騎士団ごとに多少の差異はあるが、共通して、忠誠を誓う代わりに領地を与えられた者たちであり、爵位を持つことが多い。
多くがたぐいまれな戦闘能力を持ち、また剣技や弓術などの身体的な能力だけでなく、魔力に長けるものも存在する。
魔力
大地に存在する自然エネルギーを利用、増幅し、放出することができる力。
まれに魔力が発現しない人もいるが、ほとんどの人間が生まれながらに備わっている。
戦闘でも使用されるが、化石燃料と並ぶこの世界の主たる動力源として、簡易な蓄積装置を使って種々の生活道具の動力としても利用される。
魔物
人間だけでなく動植物の中にも魔力を持つ個体があり、こうした生物は“魔物”と呼ばれている。